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岡三オンライン証券|ご担当者様インタビュー/株取引ツールのUX/UIレビューを起点とした複合プロジェクト 

クライアント

岡三オンライン証券カンパニー

2006年1月の創業以来、インターネットを通じて多種多様な金融商品を取り扱い、業界最先端の機能を装備した株や証券の取引ツールで定評のある岡三オンライン証券。2022年1月1日には岡三証券株式会社との経営統合を行い、岡三証券内における独立事業部門「岡三オンライン証券カンパニー」として、商品ラインアップやサービスのさらなる拡充を見込まれています。

 

インタビュー

岡三オンライン証券様は、投資ニーズにあわせた豊富なラインアップとネット証券においても際立つ革新的な取引ツール、岡三グループ独自の細やかな投資情報の提供などで、幅広い層の顧客から厚い支持を得ています。
今回、ゆめみはそれら取引ツールのなかでも主要な、シンプルな操作性でPCやスマートフォン、タブレットとマルチデバイスで利用できる「岡三ネットトレーダーWEB2」ならびに「岡三かんたん発注」のUX/UIレビューサービスに関するご依頼いただきました。

事前ヒアリングを通じて、ツールの現状分析とともに今後のアプリリニューアル方針の検討まで視野に入れられていると伺い、ゆめみではUX/UIレビューとともに、ユーザビリティテストとワークショップの実施を提案しました。リニューアルに向けて課題感や期待をチームで共有し、解決策やゴールの方向性などの解像度を上げ、具体的な課題の解決方針を決める。それが本事例のプロジェクトです。

今回は岡三オンライン証券の百々様、城平様に取材の機会を賜り、プロジェクト全体を振り返りながら、当時や現状における課題、実施事項や取り組みに関する率直なご意見、今後の展望などについてお伺いしました。

※インタビューは経営統合前の2021年12月に実施しました



 

♦当初の課題について

まずは今回、当社の「UX/UIレビューサービス」をご依頼いただいた背景やねらいについてお伺いしながら、当初の課題感をおさらいしたいと思います。

百々様 「レビューをお願いした二つのアプリに限らず、取引ツールに関しては社員の多くが以前から課題感を持っていました。顧客との窓口であるコールセンターからはお客さまのご要望やご意見が上がってきますし、毎月ディスカッションもしていますので、具体的な問題点も把握していました。それらを受けて、実際に開発業者やベンダーに相談し、優先順位を決めながら対応できることは進めておりました。

それでもシステム上の制限やコストの問題から、多くは操作性に関する目先の改善にとどまりがちでした。私は経営企画部門を担っていることもあり、アプリにおける課題解決には今後のビジネスモデルの見直しなども意識すべきだということは重々承知しています。しかしながら、そうしたアセスメント的な取り組みにコストをかけることはなかなか困難なのですよね。「モノをつくる」ことにはコストもかけやすいのですが、無形のアセスメントなどに関してはどうしても制限がありますし、経営陣の理解を得るのも難しい。

その点、アプリのUX/UIレビューを起点に、ビジネスモデルや組織体制まで含めた課題を分析し、解決策までを導き出してくれるゆめみさんの提案は非常に魅力的でした。コストも想定内でしたし、経営統合を見据えた時期だったことも大いに影響したと思います。」

城平様 「現場担当として、コールセンターやIT部門などとは普段から適宜やりとりしています。いろんな問題や課題に対して細かな話をしていますが、議論しているのが社内の人間だけなのでどうしても行き詰まる。金融機関の人間ならではというか、株の用語や取引フロー、ツールの使い方が頭に入っている者だけでは考えが及ばないというか、お客さまの目線に合わせづらいんです。開発自体も金融システムの専門業者であるベンダー任せになっていることもあるのか、使いやすいように考えて設計しているにも関わらず、お客さまからのツールの操作方法に関する問い合わせが続いていること。私自身や担当者レベルが使いづらさや問題点を感じて社内で発言しても、いまいち説得力がないこともあり、現場には常にモヤモヤ感が漂っていました。

対して、ゆめみさんは金融機関のサービスに特化されず、B2B、B2B2Cなど多種多様なアプリを開発されているので、お任せすれば自分たちにはないフラットな目線で見てもらえる。日頃モヤっとしている部分をしっかり整理できるのではという期待感がありました。
UX/UIレビューサービスを通して、アプリ自体のわかりやすさを見直すと同時に、コールセンター対応の負荷を下げることも当初のねらいのひとつでしたね。」

♦プロジェクトについての振り返り

本プロジェクトでは、UX/UIレビューサービス、ユーザビリティテスト、ワークショップと、三段階のステップを踏みながら取り組みを実施しました。特にワークショップは岡三オンライン証券様では初めての試みだったとか。社内の反応も含めてお伺いしたいと思います。

城平様 「3ステップそれぞれというよりは全体を通じての感想になりますが、幅広い意見に触れられたことで多くの発見がありました。弊社のお客さまではなく、他社アプリを利用されているユーザーの皆さまが初めて弊社のアプリに触れた際のご意見などはとても新鮮に映りましたし、自分たちがいかに金融業界特有の感覚を持っているか。普段私たちの視点がフォントや色合い、レイアウトなどデザイン寄りになりがちで、もっとこだわるべきポイントを見過ごしていたことなど、気づきは多種多様でした。
ワークショップでは、UX/UIレビューサービスとユーザビリティテストの評価結果を踏まえながら、社内間でも普段とは異なった状況でざっくばらんにいろんな話ができたことは、とても貴重な機会になりました。

もっとも、ワークショップは弊社では初めての試みだったので、参加者を指名する際は正直一苦労でしたけれどね(笑)。皆それぞれの業務で忙しいなかですし、役職付きがそろう中での参加はそうでなくても荷が重いものですから。現に、最初は皆緊張していて硬い雰囲気がありましたが、ゆめみさんのファシリテーションに助けられながら次第に打ち解けて、何ならこちらが見ていて心配になるくらい熱い議論に達するなんてこともしばしばありましたから。

掲載している画像は納品物となるため、お客様の許可のもとぼかしを入れています。UX/UIレビューサービスのサンプル画像をご覧になりたい方はお問い合わせフォームよりご連絡ください。

けれど、終わってみれば皆参加してよかったといってくれました。日頃のモヤモヤを吐き出せたこともありますが、それぞれが抱える悩みやもどかしさなどを共有できたことが大きかったと思います。システム上の制限や取引形態上の問題でやりたくてもできないこと、その他業務との調整など、皆のモヤモヤの背景にある事情や思いが把握できたことで、お互いやチームの理解が深まりましたし、今後どうしていくべきかという共通認識も得られました。」

百々様 「本来はアプリのデザインや仕様を確認するのがUX/UIレビューだとは思われますが、特に私が経営企画を担当していることもあって、今回は「なぜ当社が多くのツールを作ってきたのか」「満足するものが作れていないのかなぜなのか」といった社内の開発体制や意思決定など、われわれのビジネスモデルに影響するさまざまな気づきが得られました。経営統合を見据えた時期でもあったので、より貴重な機会になりましたね。

とりわけワークショップは参加すること自体が初めてでしたので、あらゆることが目新しかったです。そもそもリモート環境でうまく進行できるのか、意見が出るのかなど、当初は半信半疑でした。
いざ始めてみると、ワークショップの進め方はもちろん、モヤモヤの引き出し方やまとめ方がとにかくスムーズで学びが多い。これまでもいろんなディスカッションを通して個々のモヤモヤを抽出してきましたが、まとめる段階で頓挫しがちでした。項目がばらばらのまま意見が羅列するというか、まとめ方のうまい切り口を見つけ出せないというか。それがワークショップでは「モヤモヤの共有」「テーマ決定」「解決策の検討」と、出てきた意見を体系的に生かせるようまとめてくれる。雑多なコメントや趣味嗜好レベルの意見をまとめるのはなかなか難しいものですが、ゆめみさんはポイントを押さえながらカテゴライズして、いくつかの意見に情報集約してくれる。

今回は弊社代表もワークショップに参加していたので実体験できたのですが、意見を構造化して伝える術を得られるというのは通常の組織体制においては大きなアドバンテージになりますからね。ゴールに向けてプロジェクトの解像度を上げたり、要件定義を進めたりするうえで大いに役立つと思います。」

<ワークショップ時に利用したアバターとワークショップネーム>


Jcomp – jp.freepik.com によって作成された christmas ベクトル

いつもと違った非日常感覚もあって、社長や部長などの役職に引っ張られることなく、普段言えないこともすんなり話せた。上司や初めての相手でも、しゃべることが苦手な人でも、リモートでうまくコミュニケーションをとりながら気軽に会話できたと大好評でした

♦今後の展望

本プロジェクトはアプリリニューアルを想定した目標設定でスタートしましたが、お話を伺っているとそこだけにとどまらない、いろんな気づきや成果を持ち帰ってくださったようで、担当としてもうれしいかぎりです。
そこで、ゆめみへのさらなる課題提示も含め、今後の展望についてお伺いできますでしょうか。

城平様 「もともと私はIT部門や営業担当からの意見を吸い上げるという役割を担っているのですが、今回のアセスメントとワークショップを機に、アプリに対する認識が変わりました。また、普段直接やりとりすることがない部門や担当者と話せて、部署間でなかなか共有しづらい社内事情やそれぞれのスタンス、モヤモヤをリアルに把握することができました。横に限らず、経営陣など縦のコミュニケーションが実現したのも大きな収穫でした。

経営統合によって、岡三が持つリアルとオンライン双方の強みをあらゆる投資ニーズに合わせて掛け合わせることができます。時代の変化とともに、ユーザー層もこれまでとは大きく変わっていくと思いますし、株や証券に初めて触れる方やデジタルツールに不慣れな方も増えていくと予想されます。そんなあらゆるニーズに対して、これまでの自身の営業経験も生かしながら、一人ひとりのお客さまにとって最適なサポート体制を築いていければと思っています。

今回のプロジェクトを通して、ゆめみさんには弊社のいいところもダメなところもしっかり見ていただきました。今後何か困ったことや考えに行き詰まるようなことが出てきたら、すぐ駆け込んで相談させてもらおうと思っています(笑)。その節はよろしくお願いします。」

百々様 「当初はアプリリニューアルや経営統合に向けた方針設計をめざしていましたが、それ以外でも組織体制への指摘だったり、ビジネスモデルにおける示唆だったり、とても有意義な話を伺えました。これまで漠然と課題を感じていながら取り組むことなくやり過ごしてきたことの必要性に、改めて気づかせてもらえました。経営企画として、組織デザインや採用検討など、いろんな視点から見直していきたいと思っています。

身近なところでは、今回のワークショップの進め方やアイデアのまとめ方、ツール活用などは大いに勉強になりました。ぜひ参考にしながら、取り入れられる部分はすぐにも社内会議やディスカッション時に生かしたいですね。

また、ゆめみさんは開発事業として業種・業界や規模感を問わず、多種多様な実績をお持ちですが、サービスデザインや内製化支援など、幅広い事業を展開されています。弊社も経営統合のなか、独立したカンパニーとしてますます先進的な取り組みに挑戦し、これまでにはない新たなサービスを提供していければと考えています。
いろんな局面でおつきあいいただきながら、「こんなサービス、いままでなかったよね」といわれるような新たな試みにチャレンジしていければと思います。」

 

ご利用頂いたレビューサービスの詳細はこちら

 


<UX/UIレビューサービス事例>

大阪ガス|公式サイトおよび会員向けサービスにおけるUX/UIレビュー
松井証券|無料取引Webサイト「お客様サイト」のUX/UIレビュー

その他のプロジェクト事例は、こちらをご覧ください。

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